「VRビジネスの衝撃ー『仮想世界』が巨大マネーを生む」ーを読んで

今年の10月でしたが、「VRビジネスの衝撃ー『仮想世界』が巨大マネーを生むー」(NHK出版新書)という本を読みました。

 

 

この本を読んでみて、いままでふんわりと理解していたVRに関する知識が固まり、特に「ビジネス」という側面から、VRビジネスが今後どういう風に発展していくのかにいついて理解を深めることができました。

 

この本で印象に残った部分がいくつかあります。それらを紹介していきながら自分のなかでもこの本の中身について整理していこうと思います。(書きなぐってる部分もありますがお許しを)

 

【コンテンツは体験に変わる】

VRの市場規模はどんどん拡大していると言われています。

・VRは2025年には市場規模が12兆円を超える。

・市場規模が12兆円というとパソコンやテレビの市場規模とほぼ同じ。

私の周りではVRを体験したことがあるって人すらそんなにみたことがないので、正直この数字はすぐには信じられませんでした。2025年にはテレビやパソコンのようにVRが普及しているイメージが湧かなかったからです。

 

それでは、VRが巨大市場になる裏付けとは何かというとこの本ではこのように取り上げられていました。

・エンタテインメント産業全体がエンターテインメントコンテンツそのものの配信から、ユーザーにコンテンツを体験させるものへと変化。

例えば、音楽業界の売り上げは昔はCDやダウンロード販売などの音楽ソフトであったのに対し、今はコンサートやライブ、そのグッズなどが主な売り上げであると言われています。また、映画「アナと雪の女王」が大ヒットするやいなやディズニーランドでスペシャルイベントを開催して大盛況しました。

 

このように、ユーザーが実際にコンテンツを「体験」するということに最近は価値が置かれるようになってきたことがVRが巨大市場になる1つの裏付けとされています。

確かに、最近USJ任天堂がアトラクション作るってニュースが出てたので、これはなるほどなと思いました。

 

フェイスブックのVR注力】

フェイスブックがオキュラス社を20億ドルで買収

私は正直、VRがなぜ今こうしてトレンドに乗っているのか。そして、オキュラスが超ベンチャー企業であったこととかこの本を読むまで全然知りませんでした。。。

設立からまだ1年半も経っておらず、まだ正式な一般消費者向けの製品を発売していなかったオキュラスを買収したザッカーバーグは先見の明があったということなんでしょうね。

 

ザッカーバーグはVRをゲーム領域だけではなく、やがてニュース、スポーツ、映画、テレビ、教育、エンタメ、ビジネスミーティングなどに使われる可能性を見出し、

大きなコンピュータのプラットフォームは10年ごとに現れる。次に向けて動き出すタイミングだと私は考えている。」

と言っています。つまりそれはVR(オキュラス)だと。最近の大きなコンピュータのプラットフォームの転換って例えばガラケーからスマホがパッと思いつくけど、かといって、スマホからVRに変わるのかっていうのもよく分からない。

 

ガラケーは使われなくなったけど、スマホは使い続けられそうなので・・・あくまで共存はするのかな?オキュラスがコンピュータプラットフォームになるって想像がしづらい。。でもフェイスブックは今後VRに力を入れていくと明言しています。

「オキュラスがあればゲームをプレイして、友達とコミュニケーションをとり、いっしょにコラボレーション作業するチャンスが生まれます。

コンピュータやスマーフォンは発売された最初の年に一億台も売れるようなことはありませんでした。

しかし、アイディアは現実になっていきます

説得力はあります。でも、スマートフォンみたいな手軽さが実現できなければVRはコンピュータプラットフォームになり得ないんじゃないかと思ったり。私はVRはVR、スマホスマホで住み分けはできるんじゃないかと現時点では思っていますが、アイディアは現実になるって言葉は素敵だと思いました。

 

【日本のVRビジネス】

●建設

・建物を設計する際にスケール感を持って検討できるようになった

例:天井の高さを調節する

・建築の販売にも判断材料として利用されるようになった

例:部屋の中をVRで再現して、見てもらう

三菱地所グループはすでに住宅展示場などで導入しているそうです。2Dでは伝えきれなかった細かい要望も漏れなく伝えることができそう。

●結婚式場

・結婚式場の下見として式場の外観や内部を見学することができる(楽天ウェディング)

・結婚式での会場のすべての人の顔や表情を残すサービス

雨の日とか、結婚式場で他のカップルが結婚式あげてたりすると見学できなかったりすることを考えるととても便利!

●ヘッドマウントディスプレイ「FOVE」

・アイトラッキング機能搭載

ー二次元のキャラクターとアイコンタクトができる

ーコミュニケーションに新しい広がりを与えることができる

 例:ALS患者(全身の筋肉がだんだん動かせなくなる病気。しかし眼球だけは運動できる)のためのコミュニケーションツール

FOVEを開発した小島さんの言葉がとても印象的でした。

「将来的には、ユーザー同士が仮想空間内で、3Dキャラクターになったとしても、現実世界のように自然な表情で話し合えるような、かなりリアルなコミュニケーションをとることができる。」

「アイトラッキングの技術はVRが存在する限り必要とされる。2年後には必要となる。特に福祉での需要はなくならないだろう」

新しいコミュニケーションツールとして「視線」の利用の可能性を見出したのは本当にすごいと思いました。

 

【VR普及への課題】

この本では主に下記のようなことが挙げられていました。

・価格が高い(ハード自体が600〜800ドル、動作させるPCが1500ドルと一般家庭に簡単には普及しなそうな価格帯)

・気軽さがない(使うためにヘッドマウントディスプレイとPCを持ち歩くのは困難)

・VR体験を伝えることの難しさ(2Dでその魅力を体験することは不可。百聞は一体験にしかず)

・体験人数が限られる(一回につき一人しか体験できない。イベントなどでの順番待ち)

 この中でも一番は価格が高いことかなと思います。今後、チープ革命は必ずくるといわれていますが。。。

 

 

この本を読んだ感想は著者さんはほんとーにVRの可能性を信じて疑わないみたいなスタンスで書いていたので、この本を読んですごくVRへの情熱が伝わってきました。ときには疑いの目で読んでた部分もありましたが、VRのビジネスがすでに活用されている事例もあり、これからもっともっといろんな方面でVRが活用されていくのだと思うと、とてもワクワクします。

 

私はまだVRのスマホゲームでしか遊んだことがなく、とりあえず、一度オキュラスを体験してみなければとこれを読んでみて改めて思いました!

 

百聞は一体験にしかずだそうなので(笑)